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Advanced Institute of Convergence Technology
(韓国)

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高度道路交通システム(ITS)研究室 所長
京畿道自動運転センター チームリーダー
キム・ヒョンジュ 博士

研究・実装の両面から韓国の次世代モビリティ研究を牽引
UC-win/Roadで自動運転のリスク予測をリアルタイム可視化する実験プラットフォームを構築

 韓国・京畿道のAdvanced Institute of Convergence Technology(先端融合技術研究院)は、2005年に京畿道と国立ソウル大学によって共同で設立された、韓国初の官学連携型研究機関です。情報技術(IT)、バイオテクノロジー、ナノテクノロジーなどの分野を横断する融合研究を推進しており、次世代産業の創出を目的とした複数の専門研究所で構成されています。その中で自動運転分野を担っているのが、高度道路交通システム(ITS)研究室です。同研究室の所長を務めるキム・ヒョンジュ博士は、自動運転車両およびインフラ技術の実証研究を主導するとともに、大規模なテストベッドの運営を行っています。

「先端融合技術研究院では、自動運転車両の技術開発の実証研究、実際の自動運転サービスの提供に加えて、7年間にわたり統合管制センターの運用を行っており、テストベッド内で上がってきた車両やインフラの自動運転に関するデータを収集し、分析・加工したうえで外部に提供を行っています」(キム博士)。

 実際の道路を活用したテスト環境も整備され、研究と実装を結ぶ拠点となっています。その中心的なフィールドとなっているのが、京畿道城南市に位置する板橋(パンギョ)テクノバレーです。ソウル中心部から南へ約20kmに位置する同地区は、「韓国版シリコンバレー」を目指して造成されたIT・R&D集積地であり、現在では自動運転関連企業やスタートアップが多数集まる先端産業拠点へと発展しています。

自動運転の研究・実証・商用化支援を一体的に推進

 板橋テクノバレー第2地区には、2016年~2021年にかけて、オープンプラットフォーム型の自動運転実証団地が整備されました。この中で、自動運転インフラの整備完了に伴い、その運営・管理を専門に担う組織として設立されたのが京畿道自動運転センター(Gyeonggi Autonomous Driving Center:GADC)です。本センターは、自動運転実証運行区域として設定された「板橋ゼロシティ」の管理機関となっており、キム博士はここでも自動運転R&Dのチームリーダーとして活動しています。

 京畿道自動運転センターは、板橋第1・第2テクノバレーに整備されたIoT設備やV2Xインフラなどの自動運転関連インフラの管理運営、統合管制センターとデータセンターの運営を通じた実証試験の支援と走行ビッグデータの収集・管理に加えて、一般道路上に自動運転車両とセンサーの試験環境を構築し、実証を日常環境の中で行える仕組みの整備を行っています。

 さらに、自動運転スタートアップ支援として、研究スペースの提供、インキュベーションプログラムの実施、車両開発・商用化支援などを通じて産業エコシステムを促進すると共に、韓国初の公共自動運転車「ゼロシャトル」の運営にも取り組んでいます。

 ゼロシャトルは第1・第2テクノバレー間を結ぶ実証モビリティとして運行され、技術検証とビッグデータ収集のプラットフォームとして機能しています。2022年には実証区域が第1テクノバレーから第2テクノバレーまで拡張され、利用者が任意の地点で自動運転サービスを呼び出せる環境へと進化しました。これにより、技術実証だけでなく、実社会のサービスへと段階的に移行する基盤が整えられています。

 このように、キム博士は両組織を横断する立場で活動し、研究と実装の両面から韓国における次世代モビリティ政策における技術開発を牽引しています。

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道路環境モニタリングサービス
パンギョ第2テクノバレーのZone1とZone2を結ぶ橋梁
部に設置
気象状況に応じた路面状態データの収集および提供
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信号表示サービス
パンギョ・ゼロシティ内の信号設置区間に導入
車両の走行ルート上における信号表示情報の提供

UC-win/Roadのデジタルツインによるシミュレーションプラットフォーム構築

 「自動運転技術のR&Dは政府の支援のもとで進められています。過去2年間は、リアルタイムで事故予測が可能なプラットフォームの構築に取り組む警察署との共同プロジェクトを行っており、2025年の第24回3DVRシミュレーションコンテスト・オンクラウドで優秀賞を受賞した『UC-win/Roadを活用した自動運転リスク予測モデル検証SILS』が、この警察とのコラボレーションによる研究成果にあたります」。

 本作品は、UC-win/Roadのインターフェースを通じて、位置や速度・加速度、ブレーキ信号といった情報を外部の予測モデルに提供し、リアルタイムでリスク予測を可視化するものです。キム博士は、このプラットフォームがリアルタイムで運転行為および個別の車両の危険度を評価可能であり、車両間のインタラクションの際の危険予防において非常に有益なツールであるといいます。

キム博士が初めてUC-win/Roadに触れたのは、交通工学を専攻していた学生時代でした。

 「UC-win/Roadは韓国の交通業界では認知度が高いソフトで、私は交通安全研究の先生を通してソフトの存在を知りました。実際に使用してみたところ、交通安全をテーマとした課題に取り組む上で必要となる様々なシミュレーションが可能であることが分かりました。このように強力なシミュレーション機能を持つソフトに出会えて本当によかったと思っています」。

 リアルタイムのリスク予測モデルを評価するプラットフォームを構築するためには、最適なシミュレーションが必要になります。その点、UC-win/Roadはシナリオ機能の自由度が非常に高く、複雑かつ様々なシチュエーション環境を柔軟に再現できると、キム博士は評価します。

 「UC-win/RoadのSDKでプラグインを開発して200通りのシナリオを自動作成し、デジタルツインの構築作業を大幅に効率化できたことも、実験に大きく貢献しました。UC-win/Roadは拡張性が高いことから、今後は既存のプラットフォームをより進化させ、シミュレーションを高度化したいと考えています」。

第24回 3D・VRシミュレーションコンテスト 準グランプリ(優秀賞)
「UC-win/Roadを活用した自動運転リスク予測モデル検証SILS」

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自動運転アルゴリズムとリアルタイムリスク予測モデルの安全かつ効率的な検証を可能とするSoftware- in-the-Loop Simulation (SILS) を開発した。
UC-win/Roadのリアルタイムインターフェースを通じて、位置、速度、加速度、ブレーキ信号を外部予測モデルにストリーミングし、リスク予測をリアルタイムで可視化。バッチシミュレーションとデータ収集を自動化することで、再現可能な実験と定量的評価(例:シナリオカバレッジ、リスクスコアリングの精度)を支援。プラットフォームは、初期検証を仮想環境に移行することで、コストと安全リスクを低減し、アルゴリズムの反復を加速させるとともに、UC-win/Road上で自動運転および運転支援機能を検証するための再現性のあるワークフローを提供している。

 

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