UC-win/Road Ver.18では、PBR(物理ベースレンダリング)の導入により、景観の再現が格段に進化しました。この機能は、VR空間でのリアルな視覚表現を実現する鍵となっています。
レンダリング手法の更新:PBR
Ver.17までのUC-win/Roadは、OpenGL固定機能パイプラインおよびPhong反射モデルに基づく、比較的シンプルで軽量ながら古典的な描画方式となっていました。Ver.18では、このレンダリング手法を刷新し、物理ベースレンダリング(PBR: Physically Based Rendering)が新たに導入されています。これにより、マテリアルの物理特性(反射率・粗さ・金属度など)に基づいたリアルな光の相互作用を再現可能となり、シェーダーの個別実装に頼らずとも、高度な質感表現や自然なライティングが標準で実現できるようになりました。
Ver.18では、従来のバージョンで作成されたデータでも、手を加えることなく自動的にPBR対応となります。さらにリアリティを高めたい場合は、マテリアルとテクスチャ、環境マップに関するパラメータを編集することで効果を高めることができます。
図1~3は、同じデータを読み込んで描画を比較した画像です。



Ver.17でのやや高めの彩度が、Ver.18では自然な彩度に落ち着いた描画になっていることがわかります。さらに、マテリアルとマッピングを編集することで、路面の反射や金属の光沢が印象的な描画になることがわかります。
環境マッピング
環境マッピング機能はPBRの中でも特に「反射」の表現に深く関わっています。周囲の風景や空の様子、光の反射などをリアルタイムで3Dモデルに反映させる技術です。たとえば、車両のボディに空や建物が映り込んだり、水面に周囲の景色が反射したりと、現実に近い臨場感を生み出します。
Ver.17でも環境マッピング機能は標準で付属しています。影、または高度な照明が有効な場合に設定が可能です。「描画オプション」-「時間と照明」でチェックを付けると周辺環境の反射効果が有効となります。反射効果は輝度を0以外に設定した3Dモデルに対して適用されます。(図4)

Ver.18では、「描画オプション」で専用のタブ「環境マッピング」が増設され、「イメージベースライティング(IBL: Image Based Lighting)」の設定が可能となっています。(図5)

周囲の360度画像などの用意がない場合は、「シーンを使用」することで空との環境調和を実現します。(これを選択した場合、毎フレームで環境マップが生成されるため、パフォーマンスに影響することがあります。)
また、青空を描画した結果、シーンの色が青く表示されてしまうような場合には、「色調整」で調整することが可能です。夜空が暗すぎてシーンの色が全く見えないような場合は、「背景色」に暗い灰色を設定することで、夜間でも見える状態に調整することができます。
「画像を使用する」ことでIBLを効果的に用いたレンダリング手法により、例えば夕方の空があらゆる表面に反射した映像を生成することが可能です。製品のサンプルデータには環境マップ画像が用意されていますので、その効果を確認することができます。


マテリアルとテクスチャ編集
Ver.18ではマテリアル編集機能が追加されました。従来通りのデータをそのまま使用する場合などは特別な設定は不要ですが、たとえば雨に濡れた路面に周囲の風景が映り込むような、より印象的なシーンを演出したいときには、マテリアル設定を活用することで高い表現効果が得られます。
主に以下の物理的特性を考慮したPBRを活用したシミュレーションにより、都市景観やインフラのビジュアライゼーションがさらに現実に近い表現となります。
- 基準色:物体表面の基本的な色(拡散反射の色)
- メタリック:金属か非金属かの性質を表す値
- ラフネス:表面の粗さ(光の拡散具合に影響)
- 法線:微細な凹凸を表現して陰影をリアルに

PBR活用による効果
このほかにもPBRは多様な機能と適用シーンを持ち、以下のような効果が期待できます。
リアリティの向上
光の反射や陰影が自然に再現され、視覚的な説得力が大幅に向上します。人工的な印象が軽減されることで、3D酔いの抑制にもつながります。
プレゼンテーション効果
都市計画や交通シミュレーションなどの提案時に、関係者へ強い印象を与えるビジュアル表現が可能です。
没入感のある体験
VR空間に入り込んだような臨場感を提供し、設計や検証の精度向上にも貢献します。
単なる「見た目の美しさ」を超えて、設計や意思決定の質を高める実用的な機能として活用できます。