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フォーラム総務

Vol.54 年度初めに見直し? 書類等の保存期限!
~法定帳簿等の保存期限と処分の方法~

このコーナーでは、ユーザーの皆様に役立つような税務、会計、労務、法務などの総務情報を中心に取り上げ、専門家の方にわかりやすく紹介いただきます。
今回は、書類等の保存期限について解説いたします。
 


年末にやろうと思っていた大掃除や書類の整理、忙しくて結局出来ずじまいとなっていませんか?ある調査では、平均的な会社員は、年間で150時間も探しものに費やしているそうです。文書整理は業務効率化に繋がることがわかります。もちろん整理はいつでもいいですが、心機一転、新年度を迎えた今この時期も良いキッカケかもしれません。

とはいえ、書類の中には『保存期間』が定められているものがあります。間違って保存期限前のものを処分してしまわないように、どの書類がいつまでの『保存期間』なのか確認し、適切な時期に、適切な方法で処分し、整理しておくよう文書管理を行いましょう!

保存期限のある書類

法令等で『保存期間』が決められているものは、その保存期限まで保存が義務付けられています。このため、保存期限前に廃棄等の処分をしてしまうと、保存義務違反となります。

保存義務に違反すると、労基法では30万以下の罰金、会社法では100万以下の過料が科せられるなど罰則があります。

今回は労働法関係の代表的な書類の保存期限について確認していきます。

法定四帳簿

まずは、労基法上の法定四帳簿と保存期限を確認しましょう。

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2020(令和2)年の民法改正に伴い、労基法も変更となり、保存期限が3年から5年へと変更となりました(労基法第109条)。ただ、当面の間は3年の保存で良いとされている(労基法附則第143条)ので、現状では3年間の保存でも問題ありません。また、改正後は、記録の保存期限の起算日について明確化されています。

当該記録に関わる賃金の支払期日が当該記録の完結の日等より遅い場合には、当該支払期日が起算日となること
例:賃金計算期間が月末 → 支払い期日が翌月10日の場合

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この場合のタイムカード(出勤簿)は、賃金支払期日の7月10日から起算して5年(3年)間の保存が必要となります。

それぞれ保存期限前のものが廃棄とならないよう、充分注意して処理します。そのためには、年間や年度等でのファイリングや整理が必要となります。

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保存期限が◯◯の書類

前述のように、保存期限が5年(当面3年)となる書類(抜粋)は次の通りです。

  • 36協定書(36協定届控え)
  • 労働条件通知書(労働契約書)、履歴書、身元保証書など雇入れに関する書類
  • 解雇予告除外認定関係書類、解雇予告等の領収書など解雇に関する書類
  • 健康診断個人票
  • 災害補償に関する書類 など

○ 保存期限が4年間の書類 → 雇用保険に関する書類
○ 保存期限が2年間の書類 → 社会保険に関する書類

それ以外の保存期限のある書類

その他、安全衛生法では保存期限が30年のものや、労働法等以外でも、会社法や税法等で定められた保存期限がある書類があります。

  • がん原性があるものとして厚生労働大臣が定めるものの製造、取り扱う業務に従事する労働者の作業記録等(物質:カドミウム等約200物質)→ 30年間
  • 源泉徴収簿および扶養控除等申告書等 → 7年間 など

今回記載したものはほんの一部となります。保存期限は書類ごとにしっかり確認を行いましょう。

廃棄時は個人情報等に注意

データを廃棄する場合は、最終的にはパソコンの廃棄の際にきちんとデータが残っていないかどうかを確認する必要は出てきますが、日々の廃棄の場合はデータを消去するだけなので、特に手間がかかるということはないでしょう。

ただ書類の廃棄となると、単に書類をそのままゴミに出せば良いと言うことにはなりません。法人の重要情報となる場合や個人情報そのものとなる場合も多く、適切な廃棄処理が必要となります。

シュレッダーをかける

シュレッダーに書類をかけて裁断し、その後バラバラにしたのをゴミに出します。自社で裁断するので費用はかかりませんが、時間と手間が掛かります。また裁断がきちんと出来ていないと漏洩のリスクが高まります。

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業者に依頼する

焼却処分や溶解処分といった処理を業者が行います。廃棄書類はたいてい回収ボックスに入れ、業者は回収したボックスを未開封のまま処理するというスタイルです。溶解であれば、ホチキスやクリップ等もそのままボックスに入れてOKな場合も多いです(業者によって異なります)。一度回収ボックスに入れて封をすればそのまま処理されるため、手間もかからず、情報漏洩のリスクも減らせます。デメリットとしては、業者に依頼するため費用が掛かる、処理前に悪意をもった者に回収ボックスを盗まれるなどの可能性がある点です。

必ずしも業者に依頼する必要はなく、きちんと廃棄処理が出来れば問題ありません。処理枚数や書類の重要度によってシュレッダーと業者依頼の使いわけをするなど検討しても良いかと思います。

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監修:社会保険労務士 小泉事務所

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