
本セミナーはMIT ILP産学連携プロジェクトに参画しているもので、2021年より毎年3月と9月、年2回のスペシャルセミナーを行っています。3月は土木・建設・建築・環境分野、9月はAI・IT・情報通信系の研究者による講演を行っています。
AIを核とした戦略と新分野への展開
フォーラムエイト代表取締役の伊藤裕二による冒頭挨拶では、AI技術を核とした戦略が紹介されました。大阪移転に合わせてプライベートAIデータセンターを整備し、AIによる設計支援やサーバー基盤の強化を進める方針です。また、デジタルツインなどの技術を活用し、自動運転やロボット分野に加え、宇宙衛星ソリューション「Space-F8」など新分野への展開についても紹介しました。
デジタルツイン活用と環境データ統合・AI技術による次世代評価手法
「From Digital Twins to AI ― 環境インフォマティクスが切り拓く次世代エネルギーと環境評価 ―」
講師:Haruko Murakami Wainwright 氏
(MIT 土木・環境工学部/原子核科学・工学部 助教授、ノーマン・C・ラスムッセン記念 現代技術キャリア開発教授)


ウェインライト氏は、廃棄物処分や原子力発電所、環境情報学の分野で研究を行い、地球・環境システムのメカニズムモデルを通じた改善に取り組んでいます。同氏の中心的な研究テーマは次の2点であり、講演では主に、環境データ統合とAIを組み合わせた新たな評価手法について紹介しました。
(1)マルチスケール/マルチデータ統合
(2)シミュレーションと機械学習(AI)の統合
現在、ドローン、航空機、衛星、地上センサーなどから取得される環境データは解像度やノイズ特性が異なるため、それらを統合して不確実性を扱うことが重要な課題とされています。研究では、以下のような分野でAIを活用した評価・予測手法が示されました。
・福島における放射線モニタリング
・地下水汚染モニタリング
・土壌水分管理
デジタルツインにより多数の気象パターンを事前シミュレーションし、その結果を学習データとしてニューラルネットワークで予測することで、従来約80分かかっていた拡散予測を数秒で算出できるようになったと説明しました。これにより、スパコンで行っていた大規模シミュレーションを事前学習させ、ラップトップやクラウド上で実行できるエミュレーターとして利用可能になります。
教育・社会実装の取り組みとしては、鉱山やエネルギー施設が多い地域で、市販の低コストセンサーを活用したSTEM教育プログラムを実施。また、米国エネルギー省との連携によるスーパーコンピュータ資源の活用なども進めており、緊急対応や環境モニタリングの高度化、市民の環境意識向上を目指しています。
講演後の質疑応答では、大規模シミュレーション環境の構築方法や、日本で課題となっている内水氾濫・地下空洞化といった見えないリスクの可視化について議論が行われ、米国の最新の物理探査技術についても紹介がありました。





AI連携とデジタルツインによる横断的プラットフォームを実現
ウェインライト氏の講演内容を受け、AI連携とデジタルツインを活用した横断的プラットフォームを可能にするフォーラムエイトの製品や技術を紹介しました。F8-AI Cloud CADを中心に、生成AIチャットや自然言語による設計変更を可能にする「F8-AI UCサポート」機能について説明しました。また、国土交通省の電子国土データなど多様なデータと統合できるデジタルツイン基盤により、都市防災やエネルギー管理、人流・交通解析など幅広い分野で活用できることを、具体事例を交えて紹介しました。